太陽光発電は設置しないと損?その理由について解説
家を建てる際、近年では太陽光発電を設置するかどうかを迷うことも多いと思います。ここでは、太陽光発電が世の中としてどのような扱いになりそうなのかと言う観点から、設置するべきかどうかを解説します。
Contents
日本における太陽光発電の普及率
日本ではあまり取り上げられていませんが、実は太陽光発電による電力供給の割合はかなり多くなっています。これは、屋根の上に乗っている太陽光発電だけではなく、山中などに設置されている太陽光発電や、巨大太陽光発電プラントによる発電も含まれますが、実際には
全エネルギーの内の8%
が、賄われているのです。
そして、PHOTOVOLTAIC POWER SYSTEM PROGRAMMEによると、太陽光発電によるエネルギーのシェアは世界でも9番目に多い状況となっています。
日本においては、太陽光発電による発電は無くてはならないものになりつつあると言えます。
設置しない家庭は実は損をしている
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」
と、言う制度があるのを知っていますか?こちらは関西電力によると
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」(電気料金の一部)とは、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」によって電力の買取りに要した費用を、電気をご使用のお客さまに、電気のご使用量に応じてご負担いただくものです。
関西電力HP「再生可能エネルギー発電促進賦課金とは」
と、書いてあります。
実は、太陽光発電で発電した電力は売ることが可能となっています。
このお金はどこから出ているのかと言うと、実は「電気を使っている全員で負担している」のです。
あまり良く知られていない事実なのですが、2012年7月から実施されているのです。
そして電気料金の請求を見てみると、しっかりとその項目が載っています。
こちらは関西電力さんのWEB上で確認できる電気料金請求額の内訳です。
このなかに「再エネ促進賦課金」と言う記載があります。
これがまさに、全員で負担している額となるのです。
つまり、太陽光発電を載せていない家庭においても太陽光発電で発電した電力を使ってもいないのに、まるで使ったかのように負担していることになるのです。
この金額は、2022年4月までは3.36円/kWh、2022/5~2023/4までは、3.45円/kWh
となっています。
請求額が 29.8円/kWH なので、1割以上(約11.3%)も自宅で消費していない電力を負担している計算となります。
太陽光発電を設置することがとても得となることがこれだけでも分かります。
日本における太陽光発電設置の義務化について
今度は日本における太陽光発電の今後について見ていきたいと思います。
日本におけるゼロエネルギー化が一気に促進した背景には、2020年10月26日の菅元首相による所信表明演説において、2050年までのカーボンニュートラルを目指すとしたことが大きな転換点となりました。
この後、法案が改定され日本も本格的にカーボンニュートラルを目指すこととなりました。
カーボンニュートラルとは簡単に言うと石油やガス、石炭などの利用を最小限に抑えて(可能であればゼロにして)、二酸化炭素の発生をプラスマイナスゼロにしようと言う社会のことです。
このためには、現在発電所で大量に使用されている石油やガスなどの利用を極力なくす必要があります。当然、発電所側の努力によって減らすことが必要ですが、それと同時に発電された電力を使う側の努力も必要となります。使う側が出来ることとしては、使う量を減らすことです。これが「省エネ」となります。そして、更に使う側が石油やガスを使わないで電力を作ることが出来ればより良い訳です。
これが「創エネ」と呼ばれ、太陽光発電はここで役にたつわけです。
そして、実際にゼロエネルギーにするためには、「省エネ」だけでは限界があります。
使う量をゼロにするわけにはいかないからです。
つまりゼロエネルギーにするためには、「創エネ」が必ず必要となり、これを達成するために「太陽光発電」が必要となるのです。
そこで、2021年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」では、今後の目標として以下を定義しました。
【2030年までの目標】
経済産業省「第6次エネルギー基本計画」
新築される全ての住宅・建築物にゼロエネルギー水準の性能確保を目指す(P43)
新築戸建て住宅の6割に太陽光発電を設置(P59)
【2050年までの目標】
住宅や建築物全ての建物を含めて、平均でゼロエネルギー化を実現(P30)
設置することが可能な住宅・建築物全てに太陽光発電設置(P59)
つまり、あと数年もすると新しく家を建てる時には必ず太陽光発電を設置することとなりそうなのです。
太陽光発電は元がとれる?設置した場合のシミュレーション
採用にあたって、一番気になることは太陽光発電を設置することによる家計への負担です。こちらに関しては、シミュレーションと言うものを行う事によって、ある程度予想することが可能です。
建物の大きさや断熱性能などによって、変わるのですがここでは一般的な大きさの住宅で、弊社が最低限として定めているG2断熱住宅において、太陽光発電がある場合を無い場合を比較します。
計算には「Panasonic」が提供する「エネスケ」を利用します。
太陽光発電は140万円掛けて、4kw程度の容量のものを設置したとします。ZEHとなるので、国からの補助金を70万円補助されたものとします。
これと太陽光発電を設置しなかった場合とを比較することにします。
その他の条件は全く同じで、住宅ローンはフラット35にて金利1.44%で借りたと仮定します。
詳細な計算条件と計算結果の概要は以下に示します。建築当初に500万円だけ現金で支払っています。
これによると生涯支出で105万円、太陽光発電を設置した方が得と出ています。これは住宅ローンを借りて金利を加味し、太陽光発電のメンテナンスコストも加味したものです。
更に現金による支出も見てみましょう。
1年目から太陽光発電を設置した場合は売電が出来るので、現金支出が少ない状態です。そのままローン返済が終わるまでずっと現金支出が少ない状態が維持できます。
つまり、本来であればローンを借りているのでその分支出が多くなるはずなのですが、売電が可能な分と光熱費が減ることにより、毎月の支出ですら家計が楽になるのです。
次に総支出額の推移です。
20年目頃に総支出額が逆転すると、そのまま太陽光を設置した住宅の方が総支出額は少ない状況で推移します。
つまり、20年経つと元が取れるという事です。
更には10年程度で両者がそれほど変わらない状態となっていることが分かります。
まとめ
- 太陽光発電の設置は可能であればした方が良い
- 投資回収のためには国からの補助金を貰いうけることと、なるべく安く太陽光発電を設置する必要がある
- 回収には10~20年掛かるが、メンテナンスをしながら長くりようすることで、住宅ローンを借りていても得することが可能
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