不快指数を利用した窓を開けて過ごせる季節
高断熱住宅に住むようになると、窓を開けてはいけないと思っているかたも少なくないようです。
しかし、実際には季節が良い時はエアコンを止めて窓を開けて生活しても当然構いません。
(ただし、黄砂や花粉の影響もあるので、窓を開ける場合は温度や湿度以外の状況も考慮しましょう)
今回は誰にでも手軽に知ることが可能な温度と湿度を利用して、窓を開けて快適に過ごせる季節を知って貰いたいと思います。
Contents
窓開けの判断に利用するベストな指標は?
外の状況が暑いのか寒いのか、ジメジメしているのかどうかを判断するためにはいくつかの指標があります。ここでは、「不快指数」と言うものを利用するのですが、何故この不快指数を利用すべきかをお知らせします。
暑さ指数(WBGT)は少し使うには不便
最近、天気予報などでよく利用されるのが暑さ指数(WBGT)ですが、これは熱中症予防に利用されています。しかし、個人が窓を開けて良いかどうかを判断するためには「グローブ温度」と呼ばれる温度を計測する必要があり、手軽に分かる指標ではありません。ですので、天気予報などで発表される数値を利用することになるのですが、あまり細かい地域にまで分かれていないのであくまで参考の値となります。
予測温冷感申告(PMV)はもっと不便・・・
このほか、我々のような研究を行う専門家の中では予測温冷感申告(PMV)を利用する場合があります。これは温度や湿度の他に、その人が来ている衣服の量やその人がどうしているか(座っているのか、動いているのか)と言った、人が熱を感じる要素全てを考慮した指標があります。
しかし、この指標は研究で利用する分には良いのですが、普通の生活においてこのPMVを算出することはほぼ不可能です。(かなり仮の数値を利用すればある程度は求まりますが・・・)
まして、実はこのPMVの出所は北欧でして、ヨーロッパの人の感覚がそのまま数値になって表れているので、日本人に適しているかどうかも分かりません。
自分で決めるなら不快指数が一番!
この不快指数はアメリカで誕生しました。最初は家畜の牛を育てるための指標として作られたものですが、今では人間にも適用されています。アメリカであれば気候は日本と近い場所もありますし、北欧に比べるとまだ近い感覚になると思われます。(本来であれば、日本オリジナルの指標があるべきですが。)
窓を開けるべきかどうか、自分で判断するなら不快指数が一番です。
何故なら、不快指数であれば外の気温と湿度が分かれば今の状況を知ることが出来るからです。
とはいえ実はこの不快指数、元々考案された方法では簡単に計算できるものではありません。折角、温度と湿度と言う手軽に入手できるデータで計算できるのですが、その計算方法が従来のものでは複雑で簡単には計算出来ないのです。
不快指数を簡単に知る方法
不快指数とは?
そもそも、不快指数とはどういうものでしょうか?
不快指数は以下の表で示される基準があります。
不快指数 | 体感 |
---|---|
~50 | とても寒い |
50~55 | 寒い |
55~60 | 少し寒い |
60~65 | 寒くもなく暑くもない |
65~70 | 快適に感じる |
70~75 | 不快感を持つ人が出てくる |
75~80 | 半数以上が不快に感じる |
80~85 | 全員が不快に感じる |
85~ | とても暑い |
60未満になると寒いと感じる人が多くなり、70以上になると暑いと感じる人が増えることを示しています。そして、60~70の間であれば快適に感じるという事になります。
外の状況が60~70であれば、エアコンを止めて窓を開けて外の空気を採り入れれば良いという事になります。
不快指数の算出方法
不快指数の算出方法にはいくつかの手法が提案されています。
最も一般的に不快指数を計算しようと思うと、計算ソフトのExcelを利用して計算することが一般的です。不快指数の算出方法は割と難解なものです。
しかし、これを少しでも簡易に計算出来るようにと様々な手法が提案されています。
今回はここで弊社が考案した機械学習を用いて作成した最も簡易な計算手法をご紹介します。
先に計算式を示します。
$$DI=1.37T_b+0.08RH+33.731$$
$$T_b: 温度, RH: 相対湿度, DI: 不快指数$$
これは完全に弊社オリジナルの式となりますが、とてもシンプルな式です。これであれば、その時の外部の温度と湿度が分かれば電卓で簡単に計算出来ます。
是非、この式を利用して不快指数を求めてみて下さい。
何故、不快指数が簡単な式で求まるのか
この式は機械学習と言う方法で作成しています。機械学習とはAI等に利用される技術の一つで機械学習を利用すれば、本来複雑な計算方法である不快指数も上記のような簡単な式で求める事が出来るのです。
下が、実際に不快指数を複雑に計算した場合と機械学習によって作った式で求めた場合の比較です。
今回弊社で作成した式で求めたDIが、本来の計算で求められたDIと殆ど一緒になっていて、二つのグラフが重なっています。(紫色に見える部分)
この結果が示すように機械学習であれば、本来複雑であった式もとてもシンプルに表現できることが分かります。
結局窓開けに最適な季節はいつなのか?
先ほどの式を用いて、自分で計算した結果が60~70の時に窓を開けて貰えば良い訳ですが、それ以前に大体どの時期が窓開けに適しているのかを事前に知っておくと便利です。
そこで、2020年の大阪における温湿度において、先ほどの計算式を用いた不快指数が60~70となる時期を見てみます。
この結果、5月中は殆ど全ての時間帯で60~70の範囲内に収まっていることが分かります。
また、10月の初旬から中旬にかけてもこの範囲内で収まっています。
つまり、5月や10月の初旬から中旬にかけては、エアコンを止めて窓を開けておいても気持ちの良い時期であるという事が分かるのです。
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